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かわいらしさと反骨精神の同居。奈良美智の代表的モチーフである挑戦的な眼差しの少女。
世界で最も有名な現役日本人アーティストのひとり、奈良美智の代表的モチーフである挑戦的な眼差しの少女。本作に登場する少女は、何かを睨みつけているような緑色の目が印象的だ。
本来、かわいらしいイメージを持たされることが多い「幼女」というモチーフに、怒りや反骨精神といった相反する性質を同居させる点が、奈良作品の大きな特徴。
作品に描き込まれているのは、本作のタイトルでもある「Backwards Forwards」。文字通りには「前方後方」だが、文脈によって「何も決まらない」「最初から最後まで」といった多様な意味を持つ。本作のフキダシには疑問符がついており、少女が何か迷っているようにも、決断を求め苛立っているようにも見える。ストレートなメッセージのようで、多義的に取れるところがまた面白い。
本作は、どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出す木版が用いられている。木版は世界最古の印刷技術とも言われる。パンク・ロックなど現代的なカルチャーに影響を受けている奈良だが、伝統を尊重しながら自身のアートの中で活かしていることも、奈良が現代アーティストとして高い評価を受ける一因だろう。
出典元:http://459magazine.jp/
奈良美智
Yoshitomo Nara
世界のアートシーンを賑わせ続け、有名コレクターからアートビギナーまで広く魅了する現代美術の巨匠
1959年、青森県弘前市生まれ。日本を代表する画家・彫刻家・ポップアート作家。愛知県立芸術大学修士課程終了後、ドイツに渡りしばらくは海外を拠点に活動。2001~02年に国内5つの美術館を巡回した個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」は記録的な動員数となり、人気は不動のものとなった。国内外での活動を精力的に続け、メガギャラリーであるPace GalleryやBlum&Poeに所属し、海外での展覧会も多く開催。有名アートコレクターだけでなくライトファンまで愛される彼の代表的なモチーフは、睨みつけるような目つきの少女。世界各国の著名な美術館やコレクターにコレクションされ、2010年には米文化に貢献した外国出身者をたたえるニューヨーク国際センター賞を受賞し、2013年には日本で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
2021年には自身のオークションレコードを更新し、Artprice社発表の作家ランキングも6年連続で100位以内にランクインしており、国内外での根強い人気がうかがえる。
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