サインあり
東京とニューヨークをまたいで制作されたもう一つのフラワーシリーズ
80年代バブル期の東京とニューヨークを往復し制作された本作は、ウォーホルとNYのファクトリーの指示のもと、東京の「現代版画センター」にて刷られた作品。この方式で制作された作品は本作と《LOVE》の2点しかないという点においても、非常に貴重な文脈を持つ作品である。本作《KIKU (F&S II.308)》のタイトルにもなっている菊の花は、皇族の象徴としてウォーホル自身に選ばれたモチーフだ。のちに、ウォーホルの代表作でもある《Flowers(1964年)》に関連づけられることもあり、元々は別シリーズの作品だが、「もう一つの《Flowers》作品」としても高く評価されている。菊の花は、日本人にとっては皇族の象徴や霊的なものなど特別な意味をはらむモチーフであるが、海外では一般的な花の一つに過ぎず、両者でモチーフが持つ印象が異なる点も面白い。1983年はウォーホルも自身の技法を洗練させる中で、東京におけるシルクスクリーンの技術が向上していた時期でもあり、非常に高品質な作品として出来あがった。ウォーホルのモチーフへのこだわり、そして日本の職人技が光る作品である。
出典元:https://www.mashupreporter.com/
Andy Warhol
アンディー・ウォーホル
大量生産技術でアートの常識を変えた銀髪の革命児、世界に愛されるポップアートの巨匠
現代アートの中でもポップアートという新たなジャンルを牽引し、アメリカ社会に深く根付く問題や題材を扱いながら「スープ缶」「セレブリティの肖像画」など大衆の心を動かす象徴的作品を残し続けた世界でも最もポピュラーな20世紀後半を代表する画家、芸術家。銀髪のカツラもトレードマークとして知られる。
大学卒業後「ヴォーグ」などの雑誌広告やイラストで商業デザイナー、イラストレーターとしてのキャリアを経てアートの世界へ転身。1962年にキャンベルスープ缶のシリーズを発表以降、洗剤やコカコーラ等の消費財やマリリンモンロー等の著名人など、大衆社会を表現する素材をモチーフにして大量生産・大量消費という高度資本主義における構造をシニカルに描いた。
現在ではスタンダードな「シルクスクリーンプリント」という大量印刷が可能な手法をいち早く用いながら大衆に向けポップアートというひとつのジャンルを切り開き、一気にその知名度を押し上げた。音楽や映画まで幅広く才覚を発揮しアーティストとして大成功を収めるも、1987年心臓発作で死去。1970年には「ライフ」誌によってビートルズとともに「1960年代にもっとも影響力のあった人物」として選ばれるなど、時代を象徴するアーティストとして今もなお人々の記憶に残る。
出典元:https://www.mashupreporter.com/
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