サインなし
絵画の定義を刷新した、牛がモチーフのウォーホル代表作
本作品《Cow》は1976年にウォーホルの代表的な技法であるシルクスクリーンで制作された、牛をモチーフにした作品である。ウォーホルは1960年代前半にキャンベルスープ缶やマリリン・モンローの肖像画などでポップ・アーティストとしての成功を収めていたものの、1960年代後半にはアイデアの枯渇に悩んでいたという。画商のイヴァン・カープにアイデアを求めた際に受けた「牛を描いたらどうだ」というアドバイスをもとに、牛の写真をモチーフに大胆なコントラストの効いた蛍光色で制作されたのが本作品のシリーズ《Cow》である。版画家に指示を出して制作させ、ウォーホル自身は直接手を下さずに制作したというプロセス自体が「絵画」の定義を塗り替えるような革新性を持ち、アート史において重要な意味を持つ作品と言える。
本作品は、ウォーホル財団から直接購入された来歴をもつ。財団が真作と鑑定したことを証明するスタンプ、ナンバーが記載されており、アート市場において財団の鑑定付きの《Cow》が出回ることは極めて稀である。そのため希少価値が高く、特に専門家からの高い評価が期待できる一作。
イギリスの美術館「テート・モダン」で行われた展示の様子。
出典元:https://www.mashupreporter.com/
Andy Warhol
アンディー・ウォーホル
大量生産技術でアートの常識を変えた銀髪の革命児、世界に愛されるポップアートの巨匠
現代アートの中でもポップアートという新たなジャンルを牽引し、アメリカ社会に深く根付く問題や題材を扱いながら「スープ缶」「セレブリティの肖像画」など大衆の心を動かす象徴的作品を残し続けた世界でも最もポピュラーな20世紀後半を代表する画家、芸術家。銀髪のカツラもトレードマークとして知られる。
大学卒業後「ヴォーグ」などの雑誌広告やイラストで商業デザイナー、イラストレーターとしてのキャリアを経てアートの世界へ転身。1962年にキャンベルスープ缶のシリーズを発表以降、洗剤やコカコーラ等の消費財やマリリンモンロー等の著名人など、大衆社会を表現する素材をモチーフにして大量生産・大量消費という高度資本主義における構造をシニカルに描いた。
現在ではスタンダードな「シルクスクリーンプリント」という大量印刷が可能な手法をいち早く用いながら大衆に向けポップアートというひとつのジャンルを切り開き、一気にその知名度を押し上げた。音楽や映画まで幅広く才覚を発揮しアーティストとして大成功を収めるも、1987年心臓発作で死去。1970年には「ライフ」誌によってビートルズとともに「1960年代にもっとも影響力のあった人物」として選ばれるなど、時代を象徴するアーティストとして今もなお人々の記憶に残る。
出典元:https://www.mashupreporter.com/
本サービス内の画像・文章を含めたすべてを営利目的または私的利用含め、使用方法を問わず利用する行為を禁止します。